ボーイスカウト森林愛護章講習会
2018年10月7日

 ボーイスカウトが技能章(森林愛護章)を取得するための講習会をパウロの森で実施した。これはボーイスカウト東京連盟からFIT(森林インストラクター東京会)のパウロの森くらぶに委託されたものである。今年は33名のスカウトが聖パウロ学園学校林に9時半に集合した。森の広場で厳粛な東京連盟主催の開講セレモニーを行った。パウロの森くらぶからは森田代表が主任講師として挨拶、スタッフの自己紹介、長岡班長の安全注意、熊木が体操指導を行った。スカウト達は制服で集合してセレモニーに出て、その後私服に着替えて講習会に臨むのだが、制服でのセレモニーは気が引き締まるもので、わがパウロの面々も少々緊張して参加した。普段、国旗掲揚などする機会もなく、さあ、ガッチリ鍛えてやるかという気にもなるのだ。セレモニー後、3班に分かれて講習に入った。

 午前中は、東尾根東斜面の植樹とアオキ刈り、樹木の害虫駆除に関する講義である。各班は11名で中学3年生から高校2年生だという。昨年も女子がいたが今年は4割程度が女子で、これは少々驚きである。作業服装の点検後、各班唐グワ3本、クヌギの苗5本、2Lの水入りペットボトル5本、ハチを探査するための棒1本を持った。講習生全員に剪定ばさみとノコを持たせる。小学生と違ってヘルメットは被れるが、道具を腰につける際にヒモを固結びにしてほどけなくなった講習生がいた。それから班長が誘導、アシスタントが最後尾について植樹場所へ移動する。

 まずアオキ刈りの現場に到着して、アシスタントが棒で斜面のハチの巣がありそうな場所を探査して巣がないことを確認する。昨年はアシナガバチにスタッフが刺されたのだ。それから剪定ばさみの使い方を指導する。小さなアオキでは面白くないので、奥の方で50年物アオキを探しだし、「このアオキをノコで伐ろう、誰か伐りたい人」というと女子がすぐに手を上げたので、伐らせた。彼女は直径5cmのアオキを伐り、「太いのに伐り易い」と感想を述べてくれた。体験しないとものごとはすべてわからないものだ。倒したアオキに講習生を呼んで枝を伐らせ処理方法を説明する。太いアオキを伐り、枝の処理をするのがアオキ刈りの醍醐味で講習生も堪能したと思う。処理したアオキの上に太い木を載せて終了。

 次は植樹場所に移動した。現場の東尾根東斜面は、やや急な斜面で、足元に注意しながら植樹を行った。昨年も同じ場所で植樹したのだが、1年経って無事に成長していた。昨年の苗の成長を見ながら植樹できるのは効果的でいい。植樹の作業手順を説明する。まず、植樹場所をきれいに整地し、次に唐グワで苗を入れる穴を掘り、クヌギの苗を穴に入れる。掘った土をかけ、軽く踏んで土を固める。植樹を指で軽くつまんで引っ張り、抜けなければよい。ペットボトルの水をかけ、植樹のまわりに枯れ葉を敷き詰めれば完了だ。この植樹作業は意外と時間がかからないのがプログラム上の難点か。

 

 続いて樹木の害虫駆除について説明した。終了後、パウロ広場に戻り、使った道具の手入れを指導し各自が実施。昼食休憩に入った。13時の休憩終了前に各班でカマドに火を起こさせた。有志にやらせたのだが、なかなか火が起こせなかった。普段の訓練で簡単に火を起こせると思っていたので意外だったが、昨年も同様なかなか起こせなかったように思う。やっと火がついたカマドの薪を今度は消火する訓練だ。消火させる条件を学び実際に消火させた。

 消火訓練終了後、13時30分から樹木の講義になった。パウロの森を周回し、灌木10種、喬木10種の樹木名と特徴と用途について説明した。パウロの森をめぐる短い周回コースは通常のペースだと1時間弱で回ることができる。つまり30分ばかり班長は個性を生かした講義をしなければならない。小学生、ハイキングの参加者とは違い、自ら樹木について学びたいスカウトたちは真剣に話を聞いてくれた。コースの途中ではカシワバハグマにアサギマダラも止まって歓迎してくれた。

 

 森を周回後、15時10分に森の広場に戻り、班別にまとめを行った。講習生はふりかえりシートを記入。閉会式のセレモニーで、講習生全員に技能章講習会修了証が授与された。予定どおり技能章(森林愛護章)講習会は終了した。この講習会は、パウロの森の特性とパウロの森くらぶの会員の能力を生かした有益なものだと感じた。

 
参加者: 講習生33名+東京連盟スタッフ8名
 FITスタッフ: 8名
 報告者: 稲葉 力

開校式で森田代表が挨拶

シイタケのほだぎについて説明

森田主任講師が修了証を授与する

今年も東尾根東斜面で植樹

厳粛な閉校式