パウロの森の四季 2020年

2020~21年冬編 12月~2月


2021年如月

・”光の春”の言葉通りに日差しが強まり日足が伸びて、パウロの森は冬の眠りから目覚め、木々の新芽が

 膨らみ始め、早咲きの花木や草花が花をつけています。

 

・今月も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため森の整備作業は中止です。

 静かな森の中で耳をすませると春の足音に混じって、野球部員の元気な掛け声と乗馬くらぶの馬の蹄の音が

 聞こえてきます。森の中で乗馬練習中の馬に遭遇することがあります。

 

パウロの森の中で一番日当たりの良い見晴らしの丘では、早春に鮮やかな黄色い花をつけるダンコウバイが

 咲き始めています。クロモジも冬芽がほころび始めています。

 まだ冬枯れの雑木林の中ではウグイスカグラがピンク色の花を咲かせています。

 スギやヒノキは葉っぱの先に雄花をいっぱいつけて花粉を飛ばし、花粉症の方にとって目の敵です。

 アオキの雌株は赤く色づき始めた沢山の実をつけて”子育て”の真っ最中。雄株の蕾は膨らみ始めています。

 ニワトコの冬芽が弾けてミニブロッコリが顔をだしています。

 山道ではカンスゲが白い髭のような花をつけ、シュンランの蕾が白い衣を纏って膨らんでいます。

 

・森の植物だけでなく、動物たちも春を迎えて動き出します。

 テニスコート近くのビオトープにヤマアカガエルがゼラチン状の卵塊を産んでいます。

 水が少なくオタマジャクシが元気に育つか心配です。

  

フォトギャラリー1:春を待ちわびる森                      写真をクリックすると拡大し解説が表示されます


2021年睦月

・新年おめでとうございます。新型コロナウイルスの感染者が激増している年末年始です。

 皆様のご健康とウイルスに感染しない事をお祈りします。

 

・新年を迎えて、例年ならばパウロの森のご神木にお神酒や供物を供えて森の整備作業の安全を祈願しますが、

 今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、森の整備作業は中止です。

 森の広場には、コナラの落ち葉が一面に敷き詰められています。

 冬枯れの雑木林の木立は、曲がりくねった黒い枝を冬の青空に広げています。

 

・二度目の「緊急事態宣言」が発令され自粛生活が続く人間社会に対し、森の自然は悠然と時を刻んでいます。 

 サワラの大木は、枝を大きく広げて、下から見上げるとまるで「千手観音」のようです。

 【写真は前田さん撮影】 

フォトギャラリー1:冬の森                         写真をクリックすると拡大し解説が表示されます

千手観音様のように枝を大きく広げる「さわらの大木」
千手観音様のように枝を大きく広げる「さわらの大木」

2020年師走

・今年は、新型コロナウイルス感染症が世界中に拡散し、東京オリンピック・パラリンピックをはじめとして

 様々なイベントが中止または延期となり、あらゆる面で不自由な生活を余儀なくされた一年でした。

 第三波として感染者が激増している年末年始です。ウイルスに感染しないようご健康をお祈りします。

 

・師走を迎えてパウロの森では、雑木林のコナラやクヌギはすっかり葉をおとして眠りにつき始めました。

 大久保バス停からパウロの森に向う小道で、赤い美味しそうな実をつけたビナンカズラ、冬の青空と競う

 かのように咲く皇帝ダリア、まだ蕾を沢山つけている小菊が目を楽しませてくれます。

 

・学園のログハウスの前では紫陽花が淡いピンクの花をまだつけています。半ばドライフラワー化しています。

 東尾根では万年青(オモト)が赤い塊の実を、東の谷では冬山椒の黒い種が赤い実から弾けています。

 

・来年は、コロナ禍が終息して普段の社会生活に戻り、色々なイベントが安心して実施できるように、また

 安全に森の作業ができるようにパウロの森のご神木に祈願して、2020年の整備作業を終了しました。

 皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。 

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2020年秋編 9月~11月


2020年霜月

・晩秋を迎えたパウロの森では、まだ色々な花が咲き、実が熟しています。

 第二広場のアズマヤマアザミが秋の日差しを受けて輝いています。

 森の中では花の後ろの総苞がトゲだらけの雄山火口(オヤマボクチ)が大きな花をつけています。

 東の谷道でモミジガサが地味な花を咲かせています。

 初夏に咲くカジイチゴが白い花をつけています。気温の乱高下に植物の季節感が惑わされているようです。

 グランド脇ではノコンギクが咲いています。青みがかった蕾とすっきり伸びた舌状花が端正です。

 

・第二広場のまわりでミヤマフユイチゴの実が赤く熟しています。甘酸っぱい味です。

 10月はまだ黄緑だったヤブコウジの実が赤くなっています。

 雑木林の中でシロダモに赤い実が沢山付いています。これまで実がついたのを見た覚えがありません。

 今年初めて実をつけたのでしょうか?

 その隣で、ハンショウヅルが仙人のような鬚をつけた種が秋の風に揺れています。

 

・今年は団栗が生り年です。森の広場周りのコナラから沢山の団栗が落ちて、さっそく根を伸ばした団栗が

 あります。植物の生命力のたくましさに感心します。椎茸は秋子が沢山顔を出しています。

 

・新型コロナウイルス感染者がみたび増加しています。政府や東京都は”勝負の三週間”として感染拡大防止に

 取り組んでいます。冬を迎えるこの時期にこれ以上感染拡大しないことを祈るばかりです。 

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2020年神無月

・本格的な秋を迎えて、パウロの森では色々な花が咲いています。

 森に続く道の脇では代表的な野菊、シロヨメナが咲いています。近くには茎が枝分かれして沢山の花をつけた

 ユウガギクがあります。花をもむとかすかに柚の香りがします。

 森の奥ではトリカブトが青い花を咲かせています。見かけは奇麗な花ですが有毒です。

 

・森の広場の隅には、一度刈られた後から伸びたツリフネソウが背たけ10cm程で花をつけています。一度

 刈られても再び伸びて子孫を残す植物の逞しさです。

 シオデの実が黒く熟し、ツリバナが赤い実が弾けて橙色の種をぶら下げています。

 ヤブコウジの実はまだ薄緑色です。まもなく赤く色づきます。

 第二広場のヌマヤマアザミの花に蝶のアサギマダラが10頭も留まって蜜を吸っています。

 

・グランド東側の雑木林に、箒を逆さにしたような形のホウキタケが顔を出しています。 

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2020年長月

・猛暑の夏も終わり、涼しくなってきました。新型コロナウイルス感染者もこのまま収束して欲しいものです。

 

・パウロの森のコナラに異変が起こっています。

 最近、都内の公園や郊外の植物園でコナラやクヌギが枯れる被害を出している”なら枯れ菌”を運ぶ

 カシナガの幼虫に侵入されて、虫食いの木クズ(フラス)を、まるで断末魔の泪を流しているような

 コナラが見つかりました。カシナガの繁殖を防ぎ、なら枯れ菌の拡散防止の為、被害木の処分〔伐倒と燻蒸〕

 が必要になる恐れがあります。

 

・秋を迎えた森の中には色々なキノコが顔を出しています。まるでアイスクリームのような色と形をした

 「アイスクリームタケ」と名前をつけたいキノコ、くぼんだ真っ赤な傘に雨水を溜めたタマゴタケ、

 スポンジみたいにふわふわ感だあるイグチなどいっぱい生えています。

 細長いキノコのようなアキノギンリョウソウもにょきにょきと顔を出しています。

 

・森の広場のまわりは、カシワバハグマや野菊のシラヤマギクが咲いています。カシワバハグマはカールした

 白くて細い花弁を伸ばし、シラヤマギクは花の周囲の舌状花が少なく寂しい感じです。 

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2020年夏編 6月~8月


2020年 葉月

・ようやく梅雨が明けて、夏本番です。新型コロナウイルスは気温と湿度が高い夏でも感染力が強く、

 「緊急事態宣言」が発令された春の第一波より多くの感染者が発生しています。皆様ご自愛を。

 例年ならば8月は夏休みで、お盆の帰省で大勢の人が都会から帰省する時期ですが、今年は都県境を

 跨ぐ移動の自粛で「リモート帰省」です。

 

・8月のパウロの森では、夏休みの親子を対象としたイベントがあり、子供たちの歓声が響きますが、今年は

 感染防止のマスクをして、密にならないようにしての実施です。

 森の中ではヤマホトトギスが花をつけヤブランが踊っています。

 広場に設置した丸太ベンチでは、スギの可愛い赤ちゃんが生まれています。

 第二広場ではオトコエシやアキノタムラソウが咲き始めています。 

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2020年 文月

・7月となり梅雨が明けるといよいよ夏本番ですが、今年の梅雨はなかなか明けません。

 新型コロナウイルスの感染者がふたたび増えだしています。

 夏の大きなスポーツイベントである高校野球選手権大会が中止になってしまいました。

 夏休みにパウロの森で行う森林環境教育「パウロネイチャープログラム(PNP)」も感染拡大防止の為、

 中止です。

 

・パウロの森は、梅雨時の花、アジサイやガクアジサイが咲いています。

 ギボウシの花序が伸び、ヤマユリが芳香を放って咲いています。

 森の中ではハナイカダが葉っぱの真ん中に熟した黒い実をつけています。食べると甘い味です。

 藍染に使うタデアイを育てているパウロファームではカナブンが群がって野菜の葉っぱを食べています。

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2020年 水無月

・ようやく「緊急事態宣言」が解除となり、不要不急の外出自粛や学校の休校・リモート授業の生活に終止符を

 打ち、街中や学校に人の姿が戻り、停滞していた社会に活気が戻りつつあります。

 学校では2か月遅れで入学式があり、マスクをした子供たちが通学を始めています。

 

・パウロの森では、第二広場の草原でホタルブクロが風に揺れ、オカトラノオが首を傾げて咲いています。

 雑木林のリョウブは白い花をつけています。林床では腐生植物のギンリョウソウがもこもこと現れます。 

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2020年春編 3月~5月


2020年5月(皐月)

・「緊急事態宣言」が延長されて、不自由な生活が続きます。増加する感染者の手当で昼夜問わず奮闘されて

 いる医療関係者、高齢者が感染しないように努めている介護現場の関係者の方々には頭が下がります。

 また入学した学校にも通えず、新しい友達にも会うことができない児童・生徒の皆さんもう少しの辛抱です。

 一日でも早く新型コロナウイルス感染が終息することを祈ります。

 

・パウロの森は、一年で最も輝く季節を迎えています。

 雑木林のコナラやクヌギの若葉は滴るような緑色になり、ウワミズザクラの花が5月の薫風に揺れています。

 林内ではヤマツツジが鮮やかなオレンジ色の花をつけ、ガマズミやオトコヨウゾメが白い花を咲かせ、

 ツリバナが淡い藤色の花を垂らしています。

 

・雑木林の中や森の広場周辺では、キンランが黄金色の花を咲かせ、ギンランが銀色の花をつけています。 

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2020年 4月(卯月)

・新型コロナウイルス感染者が増加し拡大防止の為の「緊急事態宣言」が発令されて、不要不急の外出自粛だけ

 でなく、学校は休校、美術館や図書館や公民館は休館、百貨店や映画館や劇場は休業と大変な世の中です。

 希望に胸を膨らませて新しい学校に入学する新一年生の皆さんは「入学式」もなく、授業も受けられません。

 一刻も新型コロナウイルス感染が終息し、通常の社会生活に戻ることを祈るばかりです

 

・未知のウイルスに感染するパンデミックで停滞する人間社会とは関係なく、自然は季節の移ろいを止めませ

 ん。パウロの森では、桜が咲き、クヌギやコナラが一斉に芽吹き出します。遠くから眺めると、学園の校舎を

 取り巻く雑木林がポワーとしたパステル画のようです。

  

・雑木林の中では、モミジイチゴが白い花を下向きに、隣ではヤマブキが黄金色の花を上向きにつけています。

 林床にはスミレの花がいっぱいです。ミミガタテンナンショウが不思議な形をした苞を伸ばしています。 

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2020年 3月(弥生)

・突然の全国一斉の学校休校が政府から発表され、小学校、中学校、高等学校の生徒及び関係者はてんてこ舞い

 の3月です。

 卒業式も実施できずに仲間と別れ、通いなれた学校を巣立つ児童や生徒の皆さんに幸あれとお祈りします。

 

・3月となり、パウロの森ではあちらこちらで木々が柔らかい新芽を展開し、早咲きの花が咲き出しています。

 ニワトコが花序を伸ばし、チョウジザクラは産毛がいっぱいの若葉と萼筒が長い特徴的な花をつけています。

 ダンコウバイに続いて、アブラチャンが黄色い花をつけています。

 クロモジ三兄弟の長兄クロモジはようやく冬芽がほころび始めています。

  

・春分を過ぎる頃には、日当たりの良い林縁や第二広場でスミレの花が一斉に咲き出します。

 葉っぱの長いナガバノスミレサイシンや葉っぱの付け根が湾曲したヒナスミレが咲いています。

 スミレと競うようにミヤマカタバミが白い5弁の花をつけ、シュンランは両手を広げたような立ち姿で

 咲いています。 

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