パウロの森くらぶ
全日制・エンカレッジ合同父母会イベント

2019年1214(土曜日)
【場所】聖パウロ学園高等学校林(パウロの森)


1214日にパウロの森の広場において表記イベントが実施された。前日は非常に寒かったが当日は一転快晴の暖かい日となった。

 

パウロの森には竃(カマド)が12基ある。それらを藍液、燻製、お湯沸そして豚汁に分けて使う。まず必要なのは竃の火起こしだ。これをきちんとしないと染め液作りと燻製作りを始められない。薪材が湿っていたり火起こしのコツを掴めていないと火力が安定するまで時間がかかるが今日のみんなは火付けの達人だった。

 

また燻製の仕込みや染め模様作りのテーブルを6台設置、その他にバケツ・タライや桶を用意し、広い広場も所狭しとなった。準備が整った頃には父母の会の方々が集まってきた。
この森に来るのと藍染が初めての人が多かったがその分イベントへの期待も大きい。9時の開校式後製作開始。人数が多く場所と道具が制約されるので全員同時進行はできない。燻製・藍染トートバック・藍染ストール・森の観察に区分しそれらを5班体制の時間差で進める方法を取った。

 

まず全員が燻製の作り方の説明を受け、仕込みを行った。燻製法は温度により熱燻、温燻、冷燻の3種あるが手軽に短時間で行える熱燻で行った。食材として味付き半熟卵・チーズ・ウインナー・ベーコン・シシャモ・ソーセージを、チップにはサクラ・ナラ・リンゴを使用した。人数が多いのでその数や量はキロ単位で半端じゃ無い。ダッチオーブンの底にアルミホイルを敷いてチップを乗せ、網を入れてその上に食材を置き、下から加熱するとチップから煙(スモーク)が出て食材を燻し燻製品ができるはずだった・・・がダッチオーブンでの経験があまりなく火力も弱くてスモークが出ず、とっさの判断で炭火を直接チップの上に乗せ燻した。父母の方々にも各班食材毎に取り組んで貰い昼前には燻製作りは全て完了した。熱燻(80度~100度で短時間)なので燻製本来の色や香りを十分に引き出す事ができなかったが味には十分満足した。チーズは熱で溶けてしまうので細心の注意が必要だった。参加者自ら燻製状態になりながらも製法を習得し、作った「作品」を美味しく食べた。 3種のチップを用いたがそれぞれの違いを感じてもらう事までは出来なかった。

 

藍染作業はまず藍の乾燥葉を入れた12リットルのお湯を寸胴鍋で沸かす煮出しから始った。最初の煮出し液は捨てて、次に所定の量のお湯と還元剤を加えて15分間の煮出しを3回行って染め液を作る。煮出し用の3つの鍋と足し湯用の鍋・ヤカンの火力と煮出時間の管理が結構大変だ。薪材の乾燥具合や種類よって火力が異なるので常に竃の状態を見なければならない。施設内のガスレンジを使用するならこのような苦労は一切ないだろう。

 

染めたのはストールと手提げの2種類。最初に行うのは模様付けでビー玉・パイプ片・3- 4角木片や割り箸などをタコ糸・輪ゴムで縛って行う。縛ってある所が染まらなくて模様となる。綺麗に染めたむらくも模様のストール見本があったのでそれを選んだ人が多かったがなかなか難しかったようだ。布を折り重ねる回数と模様材を縛る位置により、展開した時対称的な複雑な模様が綺麗に出来上がる。出来上がる模様を想定して縛るのは難しいが期待通りに出来た時の喜びは大きい。模様付けや染め桶で浸け揉みしている真剣な眼差しは、美しいものを作る楽しい顔へと変わっていった。染め上げてから空気に曝すと藍の濃さが増すのであちこちからパターンパターと布を波打たせる音が聞こえる。最後に木と木に張った細紐にかけて乾かす。広場が藍色の旗とのれんの満艦飾のようだ。輪っか絞り、難易度が高い板締め雪花絞り、すごく綺麗な板締め絞りなどの完成度が高いものや、模様のコントラストがイマイチ残念なものもあったが初心者としてはよくできていた。染めに至るまで地ごしらえ、藍の植え付け、畑の管理、収穫・乾燥などほぼ1年がかりで、その集大成がこのイベントだった。


幹事:前田満子、講師:パウロの森くらぶ会員11名(森田、長岡、望月、瀧浪、上林、小勝、小川(和)、白井、林、上村、家)
参加者:父母会45名(大人42、生徒2、子供1)
報告者:家幸夫

 


燻製の仕込み中

藍染の準備

染めた後空気に曝す

燻製ができあたった

藍染込に入る

染めたストール乾燥中