スギってどんな木 2019年12月1日(日)

 穏やかな木漏れ日が射し込む初冬の一日、パウロの森での今年最後となる公募イベントが行われた。スギをテーマにした最初のイベントで、開会式後のパウロの森西尾根散策、スギの伐倒・玉切り・皮むき、午後からのスギの葉で作った染液での草木染め、染めが完成するまでの間を利用してのクラフト作りや丸太切り、薪割り、そしてぜんざい作りと多様なメニューが用意されたプログラムであった。

 参加者の皆様にはそれぞれのメニューを十分楽しんでいただけたが、なかでもなかなか実際には体験することのないスギの伐倒や皮むき、美しく仕上がるスギの草木染め、最後にふるまわれた美味なぜんざいは大人気で、参加者達の感動し喜ぶ姿を忘れることはできない。午後二時、美しく出来上がった草木染めの作品の講評と閉会式が行われた。イベントは四時間余とそう長い時間ではなかったが、私達と参加いただいた皆様とのふれあいが今日だけのものでなく、思い出に残る意義あるものであればと思う。

 

 スギはパウロの森を代表する樹種の一つである。「日本書紀」には「素戔嗚尊が髭を抜き放つと杉となり・・・」と記され、またその子、五十猛命について「筑紫より始めて、凡て大八洲国の内に播種して青山に成さずといふことなし・・・」と記されている。このように、スギは神話にも現れるほど、古来、住宅用材を中心として多様な目的に利用され、寺社林などとしても日本人に深く親しまれ、大切にされてきた。そういった意味でも、スギをテーマにしたイベントのパウロの森での継続的実施は意義あることと思う。