パウロの森の四季 2019年

2019~20年 冬編 12−2月

2020年 如月

・2月は光の春。冬枯れの寂しい森にも春の足音が僅かに聞こえます。

 立春の日に森の整備活動を行い、昨年の台風の大水で流された西の谷渡道に丸木橋が完成しました。

 森の恵みを楽しむためシイタケやナメコの植菌用の榾木材を準備しました。来月種駒を打込みます。

 

パウロの森には咲く花はありません。ウグイスカグラの蕾が膨らみ、ノワトコの冬芽が弾けだしました。

 森の動物たちは、食料が乏しくなる冬でも餌を探して必死に生きています。

 学園入口のヤマユリを全滅させたイノシシが、学園の農場脇に仕掛けた檻に一頭捕獲されていました。

 この冬4頭目です。近づくと檻の中で威嚇してきます。森の中で遭遇したら怖いです。

 アオキが今年も食べられていました。馬場の東側の通称”切通し”の所です。ここまでシカが降りて

 来る範囲が広がっています。

   

・テニスコート近くのビオトープの池にヤマアカガエルの卵がありました。まだ水は冷たいですが

 春一番に卵を産むヤマアカガエルには春到来なのでしょう。 

2020年 睦月

・新しい年を迎えて、パウロの森はしんと静まっています。

 新年初めての活動日、7日に森で一番の立派なサワラ(ご神木)にお神酒と米・塩・するめ・果物を

 お供えして、森の活動の安全を祈願しました。

 

パウロの森では、「山眠る」時期で花全くありません。

 森に向う道端で色鮮やかな黄色い菊の花とドライフラワーとなったセンニンソウの白い花を

 見つけました。気候温暖化の影響で冬になっても温かく、温度に敏感な植物たちは戸惑っている

 のでしょうか。

 椎茸の冬子(どんこ)も沢山出ています。肉厚で、焼いて食すると美味でしょう。

   

・18日にはパウロの森に雪が降りました。雪が降ると森の景色は一変します。木々の細い枝にも

 白い雪がふわりと積り、丸で白い花が一面に咲いたようです。森の看板やシイタケの榾木にも

 雪が積もり幻想的な景色です。モノクロの世界となった森の広場で竈を囲んで、手作りの味噌で

 味付けした豚汁で温まりました。 

森のご神木            ドライフラワーと化したセンニンソウ            焼いて食べると美味しい冬子

白い花が咲きました      看板もシイタケの榾木にも雪が            竈を囲んで温まる

2019年 師走

・12月、コナラやクヌギは葉っぱを落とし、見上げると師走の青空に黒い枝が広がっています。

 広場や雑木林の道には落ち葉がいっぱい積もっています。風が吹くとカサコソ音を立てながら

 転がっていきます。

 

パウロの森では、花が殆どなくなりました。

 ミヤマフユイチゴやヤブコウジやマンリョウに赤い実がついています。アオキの実はまだ青いままです。

 キジョランの葉っぱに丸い穴を開けるアサギマダラの幼虫がいました。このまま寒い冬を葉っぱの裏で

 じっと過ごすのでしょう。

 スギ林の中で赤紫色の実を見つけました。ツルリンドウです。実の下に白い蕾がありました。

 咲くことができるのでしょうか?

 東の谷で、フユザンショウの3m程の大木を見つけました。赤い実がついています。

    

・今年の春に作って、落ち葉を一杯入れて、夏にカブトムシの幼虫を放し、来年の夏には沢山の

 カブトムシが出てくることを楽しみにしていた落葉溜めが、イノシシに壊されてカブトムシの

 幼虫を食べられてしまいました。とても残念です。補修してまたいっぱいの落ち葉を入れました。

 来年はイノシシに食べられませんように。 

甘酸っぱいミヤマフユイチゴの実           マンリョウ          アサギマダラの幼虫

ツルリンドウの実と蕾                    フユザンショウの実

子供達にカブトムシの幼虫を見せる          かなり大きくなった幼虫    イノシシに壊された落ち葉溜め

2019年 秋編 9−11月

2019年 霜月

・11月、例年だと森の広場にコナラのドングリがたくさん落ちてくる時期ですが、今年は実の

 数が少なく殆ど落ちていません。森の動物たちの冬ごもり前の餌不足が心配になります。

 

パウロの森では、秋の花がいろいろ咲いています。

 オヤマボクチは牛蒡のような葉っぱでとげとげの花をつけています。漢字で書くと雄山火口、

 葉っぱの裏側の綿毛を集めて、火打石で火をつける火口(ほぐち)に使ったためです。花が咲くと

 森の中で小さな一つ目小僧が並んでいるように見えます。

 タイアザミも赤紫色のとげとげの花をつけています。

 トリカブトもようやく青紫色の花を咲かせました。よく見ると面白い形をしています。

 兜のような形をしているのは花びらでなく萼片で、その中に2枚の花弁(はなびら)が隠れています。

 有毒植物ですが根は薬の原料です。ノコンギクも薄紫色で端正な形で咲いています。

   

・実りの秋で、一昨年の春に植菌したサクラの榾木からナメコがたくさん出てきました。始めは

 丸坊主ですが3日くらい経つと傘を平らに広げます。椎茸も顔を出し始めました。

  

・食用の秋は森の動物たちも同じです。雑木林のアオキの葉っぱがシカに食べられていました。

 近くにコロコロとした糞が落ちていました。イノシシの塊の糞もあちこちにありました。 

オヤマボクチとマルハナバチ                 タイアザミ          奇麗だが有毒のトリカブト

ノコンギク                        初めは坊主頭のナメコ       秋の椎茸

葉っぱを食べられたアオキ   コロコロしたシカの糞               塊のイノシシの糞

2019年 神無月

・10月、月初めは真夏日で、恩方小学校の森林環境教育が熱中症防止で延期になりました。

 月半ばにはまたもや台風が関東を襲い、関東甲信東北の各都県に大雨を降らせ各地で川が氾濫し

 大きな被害が出ました。被害に遭われた方々に今月もお見舞い申し上げます。

 

パウロの森の近くでも台風の大雨で泥流が発生し通学バスが通る道が泥で埋もれてしまいました。

 学園の生徒(主に野球部員)たちが、住民の道を埋めた泥の除去作業に協力しました。

 パウロの森では、西の谷や東の谷が増水した水で川床が侵食され、西の谷を渡る階段道が流失して

 通行不能になりました。

   

・森の中では、カシワバハグマが花をつけ、アサギマダラが蜜を吸っていました。

 第二広場ではノダケの花が咲き、ここでもアサギマダラが蜜を吸っていました。

 オトコエシの花ではキリギリスが遊んでいました。

 森の中ではジイソブ(ツルニンジン)の花が咲き、ヤマホトトギスもユニークな形の花を

 つけています。ツルリンドウも白い花を咲かせています。

 グランド脇ではツリガネニンジンの花が秋風に揺れています。ノササゲも花をつけています。

 

・今月は、恩方小1年生と4年生がパウロの森に来て、植樹や間伐の見学と玉切りを体験しました。

 下旬には「高尾森林マラソン」で子供を含む多くのランナーが森の中の急な山道を走りました。 

泥流で埋まった道路                            川床が流された西の谷階段の道

カシワバハグマ        アサギマダラ                    ノダケの蜜を吸うアサギマダラ

オトコエシの上で遊ぶキリギリス           ジイソブ(ツルニンジン)   ヤマホトトギス

花は白実は赤紫のツルリンドウ         秋風に揺れるツリガネニンジン        ノササゲ

2019年 長月

・9月、暑い日があれば急に涼しくなったり、夏と秋の綱引きです。

 台風15号が千葉県に上陸して暴風で甚大な被害が発生しました。

 屋根が飛ばされたり、送電鉄塔が倒れたり、倒木で電柱が倒れて電線が切れて

 長期間の停電が千葉県民を苦しめました。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

 パウロの森も台風でスギの大木が1本、2m位のところで折れて倒れました。

    

・森の中で、ヤブレガサに似たモミジガサが咲き出しました。

 ノブキも小さな花をつけています。先に咲いた花には種もついています。

 寮跡地の草原ではセンニンソウやコボタンヅルがよく似た花をつけています。

 センニンソウやコボタンヅルの種と同じように、ハンショウヅルの種が渦巻き型の

 ヒゲを伸ばしているのを見つけました。

 校舎の近くではフジカンゾウやゲンノショウコが花と実をつけています。

 フジカンゾウの実はやがて黒くなりサングラスの様な形に、ゲンノショウコの実は

 皮がくるりと巻き上がって神輿のような形になります。 

 

台風15号で幹が折れたスギの大木              倒れた幹が西尾根の道を塞いでしまいました  

上左:モミジガサ、上中:ノブキ、上右:コボタンヅル、  下左:センニンソウ、下中:フジカンゾウ、下右:ハンショウヅルの実  


2019年 夏編 6−8月

2019年 葉月

・8月、長い梅雨が明けて真夏の暑い日が続きます。

 夏休みの子供達を対象にした「竹の水鉄砲」のイベントで賑やかな声が響きました。

 

・森の中では夏の花が咲いています。

 ヤブランが紫色の花をつけています。近くで見ると可愛い花の集まりです。

 ウバユリが首を横にして咲き出し、アキノタムラソウが森の広場で咲き出しました。

   

・パウロの森に向う道の脇のブルーベリーが美味しそうに色づきました。

 恒例のブルーベリー摘みのイベントを行い、一人で1.5kgも摘み取った人がいました。

 バス停そばでツクバネウツギの白い花が沢山咲いていました。

 

2019年 文月

・7月、今年の梅雨はなかなか明けずに涼しい日が続きます。

 中元に予定していた「カブトムシ」飼育教室は雨で中止になってしまいました。

 

・森の広場では夏の花が咲き競っています。

 オオバギボウシが花の穂を伸ばし始め、ヤマユリが咲き出しました。

 オカトラノオが首をかしげて咲き出し、ホタルブクロが風に揺れています。

 オオバジャノヒゲが白い花を、ヤブカンゾウが朱色の花をつけています。

  

・タマゴタケが白い殻から赤い頭をだし、次の日には柄を伸ばして傘を開き、3日後には

 傘が割れ、一週間後には跡形もなく消えてしまいました。

 赤と白のコントラストが見事なきのこです。

 バターで炒めて食べると美味しいきのこです。

 

2019年 水無月

・6月は梅雨、雨降りの日が多くなります。

 「雨もまた楽しかった」子供の頃の気持ちを忘れずに夏を迎えましょう。 

 

・パウロの農園には生徒が色々な野菜類を植えて育てています。

 ジャガイモやトマトやキュウリが花をつけていました。

 森の中では、ウグイスカグラの実が赤く、桑の実が黒く熟してきました。

 子供の頃、学校の帰り道に道草ではなく桑の実を食べて舌が黒くなりました。

 森に向う坂道にはウノハナやクリの花が咲いています。

 クリの花は長く垂れさがっているのが雄花です。いがぐりになる雌花はどこにあるのでしょう。

 近寄ってみると、赤ちゃんいがの形をした雌花がついていました。

 


2019年 春編 3−5月

2019年 皐月

・5月から新元号「令和」に改元され新たな御代がスタートしました。 

 

・自然は例年通り季節が巡っています。

 初夏の花キンランやギンランが咲き出しました。

 森の広場では遅く咲くツボスミレが小さな花をつけています。

 森の中ではヤマツツジが満開です。ハンショウヅルもひっそり咲いています。

 

・5月半ばを過ぎると、森の広場はハルジオンに占領されてしまいました。

 ハルジオンとよく似た花にヒメジョオンがあります。

 両方とも北アメリカ原産で明治以降に日本に渡来した帰化植物です。

 よく観察すると蕾のつき方や葉っぱのつき方、花の周りの舌状花の数などの違いがあります。

 広場の周りでは卯の花が満開です。マルバウツギ、コゴメウツギ、ミツバウツギなどが咲いています。

 葉っぱの真ん中に花をつけるハナイカダには実が、春一番に咲くウグイスカグラにも実が着いています。 

2019年 卯月

・4月のパウロの森は、学園の新入学生を歓迎するかのように木々が萌え出しました。

 

・4月初めに恒例の植物調査を行いました。

 普段は足を踏み入れない西の谷底でヤマルリソウやヨゴレネコノメソウが咲いていました。

 西の谷向こうの「開発地」では、シカが侵入して、アオキやヒメカンスゲの葉っぱが食べられていました。

 日当たりの良い広場では、タチツボスミレやナガバノスミレサイシンが咲き競っています。

 

・4月後半になると、森の中は花盛りです。

 金色のヤマブキに交じって、白色のオトコヨウゾメ、クサイチゴ、ニガイチゴが咲いています。

 ウワミズザクラがブラシのような花をつけています。

 フデリンドウは地上の青空のような青い花を上向きに、チゴユリは白い花を下向きにつけています。

 サンショウの黄色い花も咲き出し、竹林では筍がひょっこり頭を出しました。

 山椒味噌でゆでた筍を美味しく頂きました。

 

2019年 弥生

・春を迎えた3月のパウロの森では、木々の新芽が膨らみだし色々な草花が咲き始めました。

 

3月初めはまだ春浅く、花の種類が少ないです。

 ウグイスカグラが咲き出し、カンアオイも地味な花をつけています。

 アオキやヤブコウジは赤い実をつけています。

椎茸の春子が顔を出しました。

スギは枝の先端についた雄花から花粉を飛ばしています。

 

・3月半ばになると、一気に花の種類が増えます。

 シュンランが咲き出し、ダンコウバイやモミジイチゴやチョウジザクラも咲き出しました。

 16日には、大気中のスギ花粉が原因で起こる「花粉光環」の現象が見られました。

 お日様がマスクをしているようです。

 

・3月後半は、春の花スミレが一斉に咲き出しました。 

 アオイスミレ、タチツボスミレ、ナガバノスミレサイシン、エイザンスミレ、ヒナスミレなど

 沢山の菫が咲いています。

 菫に交じってミヤマカタバミやミミガタテンナンショウも咲き出しました。

 ヤマブキやクロモジの花が咲き、サンショウ、ミツバウツギ、ハナイカダなど新芽が萌え出しました。

 ヤブレガサが白い産毛をたくさんつけて、白い幽霊の様です。

 冬を越したアサギマダラの幼虫がキジョランの葉っぱに穴を開けていました。

 


 

●1月10日(水)定例活動

 

 

カシワバハグマ

 カシワの葉に似ている葉を持つハグマ(白熊)という意味なのだが、左の写真は秋に咲いた花の後だ。一番下には氷が見える。これはカシワバハグマで見られるシモバシラ(氷の華)だ。シソ科の植物の茎にできるもので、シモバシラにできるものが一番きれいだ。里山では12月~1月に観察できる。パウロで見たのは初めてのことだ。